★掃除をなまけている友達を注意したら「いじめ」
今回は、「いじめ」を防止するための法律が、実は、学校や先生方を
苦しめているということについてお話しします。
まず、いくつか「いじめ」にまつわる事例を紹介します。
これは、ある小学校の事例です。
個人が特定されないよう、概要が損なわれない範囲で、内容を一部脚色します。
ご了承ください。
小5のAさんは、リーダーシップがあり正義感が強い子でした。
同じ学級のBさんは、大らかな子で、何をするにしても少し雑なところがあります。
そういった性格もあってか、清掃時間などは少しふざけたり、なまけたりしてしまいます。
AさんはそんなBさんをいつも優しく注意していました。
しかし、改善のようすが見られないBさんの態度に、業を煮やしたAさんは、ある日、強い口調で、
「ちゃんと掃除してよ!」
と、Bさんを注意したのです。

普段は大らかなBさんですが、今まで、人に怒鳴られたことがなかったのか
かなりのショックを受けるのです。
すると、その日の放課後、Bさんの保護者から担任に、
「うちの子がAさんにいじめられた」
「Aさんとその保護者に謝罪させろ」
との訴えがあったのです。
担任は、学年主任、校長、教頭に相談し、Aさんとその保護者にそのことを伝えたのです。
すると、Aさんの保護者は激怒します。
「だれも注意しないからうちの子が注意した」
「それが『いじめ』というのはおかしい」
「断じて謝罪などしない」
取り付く島もありません。
さらに困ったことに、Bさんはその後不登校になってしまったため、
「いじめによる重大事態」
ということになり、自治体への報告義務が生じたのです。
清掃時間の「注意」が自治体を巻き込む大ごとになっただけでなく、第三者委員会はこの事案を「いじめ」として認定しました。
さらに、学校の対応が事態を悪化させたとの結論を出したのです。
第三者委員会がことさら学校を敵視したということではありません。
ほとんどの第三者委員会には弁護士さんも構成員として、少なくとも一人は参加しています。
ですので、感情論ではなく、「法的な解釈」が優先されます。
このケースにおいても、「いじめ防止対策推進法」の「いじめ」の定義に照らせば、清掃をしない子を注意した場合でも、相手がそのことで「傷ついた」と感じたならば、それは「いじめ」となるのです。
さらに、同法に照らせば、学校に責任があるとを認定せざるを得ないのです。
おそらく、第三者委員会としても、注意してしまった児童および学校側の置かれた状況に対し、一定の配慮や共感の念を抱いていたことでしょう。
しかし、そう結論付けるしかなかったのでしょう。
★加害者、被害者の板挟みで教師が病む
別の事例です。
これは新聞記事からです。
「東京都町田市 中学校教員がいじめ対応で体調を崩す(仮名・報道ベース)」
概要です。
ある中学校で、無視、悪口、持ち物を隠すなどのいじめを教師が察知。
しかし、状況証拠のみで、明確な物的証拠がなかったため、
加害生徒側の保護者が、
「うちの子は悪くない」
と強く反発。
被害生徒の保護者からは、
「もっとスピーディーに対応してほしい」
との苦情。
板挟みになった教師が精神的に追い詰められて休職。

といった内容です。
この二つの事例について、みなさんはどのように考えますか。
★「いじめ防止対策推進法」が学校を苦しめる
「いじめ防止対策推進法」は、いじめの早期発見・早期対応を目的に2013年に制定されました。
この法律の制定により、学校や教師は、今まで以上に「いじめ」を見逃さないよう子どもたちを観察する意識は高まりました。

ですので、子どもたちをいじめから守るという点では大きな意義があります。
しかし、学校や教職員が担わなければならない責任が非常に重く、対応が上手くいかない場合、すべて「学校の責任」とされやすい内容となっています。
事例が示すように、いじめが起こった場合、学校は独自に調査を行う必要があります。
被害者が不登校になった場合は、「いじめによる重大事態」となり、その結果を公表する義務があります。
至極当たり前のことだと思われるかもしれませんが、ここには大きな問題があります。
★あまりに難しすぎる「いじめ」の調査
まず、学校には、専門的な調査スキルはないどころか、調査の権限もありません。
しかも相手は未成年の児童生徒であるため、調査にはかなりの配慮と慎重さが必要になります。
たとえば、いじめの事案は、当事者同士の関係性や背景が複雑で、「加害者」と「被害者」が明確でないケースもあります。
そういった場合、早い段階で「加害者」と「被害者」を特定してしまうと、
もしそれが、後になって、事実でなかった場合、または、「そんなつもりではなかった」といった、誤解を含んだケースなどの場合、児童生徒の心を
深く傷つけてしまいます。
そのことが原因で、取り返しのつかない、深い影響を及ぼす恐れもあります。
また、子どもたちの記憶や認識にはズレがあることも多く、「からかい」や「ふざけあい」だったと思っていたことが、相手にとっては傷つく行為だったということも少なくありません。
しかし、まだ未成年という発達段階の子どもたちにとって、こうした複雑な心理状況を言語化することは容易でないことも多いのです。

ですので、調査では一方的な証言だけに頼らず、複数の視点から丁寧に事実を確認する必要があります。
★学校現場に過剰な責任を背負わせている
さらに同法で、学校はいじめの加害者と被害者の両方に適切に対応する責任を負っています。
「適切に」と言いますが、言うほど簡単ではありません。
先述したように、保護者にも言い分があります。
例えば、「証拠はあるのか」などと言われたら、多くの場合、明確な証拠を提示することはできません。
学校には、監視カメラなんてありませんし、もし仮に、証拠らしきものが
あったとしてもそれを押収する権限もありません。
「証拠がないと動けないが、動かなければ批判される」というジレンマ。
教師は「慎重に対応しよう」とすればするほど、加害者、被害者の保護者双方からの圧力にさらされます。
こういった状況に置かれると、私でもメンタルをやられますよ。
警察なら「証拠物の押収」「取り調べ」などの権限もありますし、それらの業務にすべての時間を投入できます。
しかし、学校にはそういった権限もなければ、時間もありません。
児童生徒には教育を受ける権利がありますし、教師も業務時間のほとんどを
「授業」に充てられているため、いじめの調査や聞き取りをしたくても、授業中にそれらを行うことはできません。
そうなると、調査の時間は放課後しかなく、いじめの内容が複雑な場合は、
解決までにかなりの時間を費やすことになります。
時間がかかりすぎると、問題解決も難しくなるというジレンマに陥ります。
さらに、こういった事態になると、「学校の対応ミス」として、マスコミで大きく報道されたりもします。

こうした点から、「いじめ防止対策推進法」は理想的な理念を掲げている一方で、学校現場に過剰な責任を背負わせているとも言えます。
★具体的な学校、教師支援を
「いじめ」から子どもを守ることについては、すべての教師が強い意志と
細心の注意を払ってその防止に努めています。
仮に「いじめ」が発生したとしても、全身全霊で事に対応し子どもを守っています。
しかし、教師や学校もまた子ども同様に守られる存在であるべきなのです。

子どものためなら、教師は心を病んでもいいといったことはないはずです。
ですので、「いじめ防止対策推進法」の理念を生かすためには、学校に過大な責任を負わせないように法改正を考えるべきです。
同時に、学校へののサポート体制、例えば、スクールカウンセラー、弁護士等との連携、家庭・地域との協力体制の強化などの具体的な学校支援策が必要です。
私はそう考えます。
みなさんはいかがでしょうか。
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