★親が認知症になると親名義の財産はどうなるか

今回から数回にかけて、親が認知症になったときに起こる、「親の財産凍結問題」についてお話ししていきます。

認知症の親御さんをかかえてらっしゃる方ならどなたでも知ってらっしゃると思いますが、親の認知症が銀行に知られると、親の銀行預金は「凍結」されます。

つまり、預金を引き出せなくなります。

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親の認知症について病院から銀行に、自動的に情報が伝わるようなシステムのようなものはありません。

裁判所や警察が、強制的にロックするわけでもありません。

ですので、親の認知症を知らない間は、子がキャッシュカードを預かって生活費を引き出しているケースがほとんどです。

違法ですけど。

しかし、例えば、銀行の窓口で高額の引き出しや相手先への振込、定期預金の解約をしようとしたときなど、

何らかのきっかけで、銀行が親御さんの認知状態を確認し、そこで判断能力がないと判断されれば、その時点でアウトです。

つまり、親御さんの銀行口座が「凍結」となります。

これは、親の財産を守るための銀行側の「自主的な対応」なんです。

子からすると、

「親のためなんだから柔軟に対応してくれよ」

って思いますよ。

しかし、家族であっても誰かが勝手にお金を引き出したら、後々の親族間トラブルにならないとも限りません。

銀行としては、後に訴えられるリスクを避けるため、そうせざるを得ないのです。

★ 親の財産凍結により介護施設の入居金が払えない!

例えば、60代の中村さん(長男)の事例です。

中村さんには、一人暮らしのお母様がいらっしゃいました。

そのお母様は要介護2でしたので、近隣に住む中村さん夫婦が交代で寝泊まりしながら介護をしていたのです。

そのお母様の認知状況がかなり厳しくなってきたので、再度審査を受けると要介護3の認定がおりたのです。

これを機にお母様を、設備の整った介護付き有料老人ホームに入居させることにしたのです。

そのための入居一時金として400万円が必要でした。

幸い、お母様名義の定期預金には1,000万円ありましたので、中村さんが銀行の窓口で解約を依頼したのです。

ところが、銀行員から「ご本人様の意思確認が必要です」と言われました。

しかし、認知症が進んでしまったお母様にとって、銀行に対する意思表示は不可能でした。

中村さんは、

「私は息子です。母の介護費用が必要なんです」

と説明しますが、銀行は

「申し訳ございませんが、ご本人様の財産保全のため、ご家族様であっても、この預金は一切動かせません」

の一点張り。

結局、それ以来、お母様の銀行口座は事実上「凍結」となりました。

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困り果てた中村さんは、次の策として、お母様が加入していた生命保険の解約金(500万円)を充てようとしました。

が、やはり認知症を理由に保険会社は解約を拒否します。

結果、中村さんは、お母様の預金があるにもかかわらず、自分の貯金を取り崩して400万円の入居一時金を支払うことになってしまいました。

しかも、公的年金も親の銀行口座に振り込まれるため、凍結後は中村さんが、すべての費用を立て替え続けることになったのです。

介護付き老人ホームの月額費用が25万円でしたので、毎月この25万円を中村さんが支払い続けることになったわけです。

次回は、財産凍結の打開策としての「後見人制度」についてお話しします。

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