★女生徒の「高笑い」は危険信号

校長として、毎日、教室を巡回していると、不安定な学年、学級ってすぐに気づきます。

心配な学年、学級って危険信号を発するからです。

危険信号はいくつかありますが、その一つが女の子達の「笑い声」です。

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通常、笑い声が聞こえることはいいことですよね。

しかし、その笑いの響きの中に危険信号を見つける場合があります。

特に気を付けておくべきことは、「女子生徒の笑い声」です。

温かで和やかな笑いはいいのですが、タガが外れたようなけたたましい笑い方だったり、

聞いている人に不快感を覚えさせるような、品のない笑い方だったりといった場合、十中八九それは生徒指導的に厳しい学年、学級です。

おそらく、先生方も苦労されているはずです。

笑い声を聞いただけで、生徒たちの心の状況を判定してレッテル貼りをするのはおかしい、と言われてしまいそうですが、

実は、「笑い」というのは、単なる感情の表出ではなく、「自分をどう見せたいか」という自己呈示や、

「自分を守りたい」という防衛本能が強く反映される行動なのです。

★感情の調整機能(感情調節)の未熟さ

10代から20代前半は、脳の「前頭前野」という感情をコントロールする部分がまだ発達段階にあります。

 弱点として、衝動的でブレーキが効かないことがあるのです。

例えば、精神的に不安定な状態にあると、湧き上がった感情を適切に処理できなくなります。

笑う時にも、そのまま最大出力で放出してしまいます。

これが、周りの状況にそぐわない過度な「バカ笑い」として表れてくるのです。

また、心の中に不安やストレスを抱えている子たちにとって、大きな声で笑うことで、負のエネルギーを一気に発散する効果もあるのです。

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これを「カタルシス効果」と言っています。

大人ならコントロールできる自分の感情を制御できないのです。

★心理的安全性の確保

さらに、女生徒にとって、笑いはコミュニケーションの「潤滑油」でもあります。

同時に、「私はこの集団の敵ではありません」というサインでもあるのです。

「ここで笑わないとノリが悪いと思われる」

「仲間外れにされる」

という強い不安(親和欲求と拒絶不安)がある場合、過剰なリアクション、つまり甲高い声や大きな動作で笑ってみせることで自己防衛をしているわけです。

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心理的安全性の確保されていない集団の中で、自分の身を守る心理的な動きの一つなのです。

★過度な承認欲求

「私を見てほしい」「ここにいてもいいと認めてほしい」という承認欲求が、品のない大きな笑い方として表出することがあります。

これを、注意獲得(アテンション・シーキング)と言います。

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精神的に未熟なほど、大声で笑うことで自分の不安をかき消し、周囲を圧倒(あるいは同調)させようとする心理が働きます。

  大きな声や特徴的な笑い方は、周囲の注目を一瞬で集めるからです。

「無視されたくない」という心理から、「高笑い」といった目立つ行動で自己存在をアピールしているわけです。

★何が正義で何が悪かを、教師が発信する

こうした女子生徒の笑い声は、周りからすると「不快」でしかありません。

しかし、教師ならば、その状況を「助けてほしい」という、生徒たちの心の声だと捉えてほしいのです。

彼らの所属する集団が、居心地が悪く、精神的な逃げ場を探しているというサインなのですから。

では、こういった、学年、学級の危機的状況を改善していくにはどうしたらいいのでしょうか。

まずは、心理的安全性の確保です。

心理的安全性が確立していない学年、学級というのは、まず第一に互いのコミュニケーションが不足しています。

ですので、互いのコミュニケーションの総量を増やす必要があります。

そのためには、まずは、できるだけ「話し合い」を中心とした授業展開で進めるようにします。

さらに月に一度は席替えをし、多くのクラスメイトが関わりを持てるようにするのです。

最初はギクシャクするかもしれませんが、根気強く取り組んでみてください。

あと、差別的な言動や行動がある場合は、毅然と対応することです。

何が正義で何が悪かを、教師が発信することです。

集団は、良くも悪くも強いメッセージに流されていきます。

互いを尊重し敬意を払うことが正義なのだ、というメッセージが主流になるのか、

ダサいやつは笑われて当然、差別も時には仕方がない、といった風土に支配されるのか、

どちらかです。

危機的な状況に陥っている学年、学級の空気を変えるには、まずは大人である教師が先導していくしかありません。

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危機的な状況であるにもかかわらず、「生徒の自主性」とか、「主体性」などと言っている先生がいます。

それは、血が噴出しているのに、自然治癒力がどうのとかいって、止血しないのと同じです。

まずは大人である教師が正しい方向を示してあげなければ事態は変わりません。

そして、正しい空気が支配し始めると、生徒間に安全性が確保されていきます。

そうなってくると、品のない笑い声はいつしか消えていきます。

そこから、生徒同士が支え合う、自治的な流れにもっていけばいいのです。

言うは易し、行うは難しです。

簡単ではありません。

しかし、そこに教師としての本懐があるはずです。

頑張ってください。

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