★上位目標と下位目標
今回は学校の管理職、特に校長職の皆さんに向けてお話をしたいと思います。
校長先生になられたら、誰しもが「良い学校」を作りたい。
そう思うはずです。
しかし、目指す良い学校とは、具体的にどのような学校のことを意味するのかを明確にしておく必要があります。
例えば、「自ら考え学ぶ生徒〜自主・自立〜」とか。

けっこうよく耳にする学校目標ですよね。
いい目標だと思います。
上位目標は、これくらいふわっとしていていいと思います。
あまり具体的になりすぎると、下位目標が作りづらくなります。
では、下位目標とは何か。
下位目標とは、上位目標を達成するために設定する目標です。
例えば、「自主的に読書をする」「自学を向上させる」「検定を取得する」「生徒が主体となった学校行事に取り組む」とかですかね。
そして、「下位目標」を設定したら、それが達成できたかどうかを測る「成果指標」が必要です。
「成果指標」は、できるだけ、設定した目標と関連性の高い指標を設定します。
例えば、「読書冊数」「宿題提出率」「検定取得率」「学校行事満足度」などです。
年度最初に、学校全体でこういった目標を立てて、生徒一人一人の個人目標に下ろしていきます。
そして年度末に、目標が達成できたかどうかを振り返ります。
今なら、キャリアパスポートなどに記録したりしますよね。
目標を掲げることで、やるべきことが明確になるとともに、生徒一人一人の意欲が高まっていき、学校全体に勢いがついていきます。
★最終チェックは客観データで
上位目標に対して、こういった下位目標を設定して取り組むことは、良い学校を作るための経営戦略でもあります。
まぁ、こういったことは、私が言うまでもなく、すべての校長先生がされていて、私が今更このnoteで特筆するまでもありません。
では何が言いたいのかといいますと、下位目標の達成状況だけでは、いい学校づくりができているかどうかは、まだわからないということです。
なぜなら、「客観データ」の読み込みが不足しているからです。
下位目標というのは、「行動目標」でしかありません。
行動を管理するための仕組みなのです。
その仕組みが上手くいったかどうかを知るためのデータとして、達成状況を見ることは必要です。
しかし、これだけだと自己満足になりかねないのです。
ちょっとわかりにくいかもしれませんので、ダイエットに例えてみます。

例えば、あなたの体重が増加してきて、体力も落ちてきたので、「健康的な体づくり」に向けて、体力づくり、健康管理に真剣に取り組もうと考えました。
これが、上位目標です。
そして、その目標達成に向けて、「週二回のジョギングの継続」「糖質制限」「体重五キロ減」に取り組むことを決めました。
これが下位目標、つまり「行動目標」です。
その行動目標の達成をめざして、1年間ジョギングを続け、糖質を減らす努力を続けた結果、見事、体重を5キロ減らすことに成功したとします。
それはそれですごいですよね。
しかし、考えてみてください。
上位目標は、「健康的な体づくり」です。
確かに体重は5キロ減りましたが、健康的な体になったかどうかは、それだけでは分かりません。
そこで、「客観データ」が必要になってくるということです。
体重も客観データの1つではありますが、必ずしも総合的な健康を評価するデータとはなり得ません。
では、客観データとはこの場合、他にどのようなデータがあるでしょうか。
最もわかりやすい指標としては、バイタルデータ(バイタルサイン)、または、バイオマーカーがあります。
血圧や血糖値、コレステロール値などです。
体重が減るだけでも、おそらくこういったバイオメーカーの数値は良くなっていることが多いとは思います。
しかし、糖質を我慢したストレスにより、逆に血圧が上がったとか。
運動の後のお酒が美味しくて、酒量が多くなり、尿酸値に異常が出たなど。
稀にそういったこともあるのです。
ですので、行動目標に加えて、客観データを使って目標管理をする必要があるのです。
★学校におけるバイタルデータ、バイオマーカーとは
では、学校のバイタルデータ、バイオマーカーになり得る客観データとはどのようなデータなのでしょうか。
代表的な客観データとしては、「学力状況」「出欠状況」「学校満足度調査」等でしょう。
例えば、学校が掲げた下位目標が実践され、それが機能した場合、多くの場合その成果は「学力データ」にも反映されてきます。
「出欠状況」においても、明らかに全体的な欠席数が減ってきます。
当然ながら「学校満足度調査」も向上しているはずです。
こういったデータが、横ばいならまだ良いのですが、稀に下がってしまう場合があります。
そういった場合は、うまくいっているように見えて、どこかに歪みがあるのかもしれません。
もっとも、教育活動の実践が、こういったデータに反映されるまで、かなりのタイムラグが生じる場合もありますので、短絡的に失敗だったと判断する必要はありません。
いずれにしても、こういったバイオマーカーの伸びが弱い場合は、次年度に向けて改善を進めていけばいいのです。
民間企業においては、わかりやすい成果指標が豊富にあります。
例えば、売上高、利益率、生産量、不良品率、顧客満足度、従業員の離職率など、わかりやすい「客観データ」が豊富です。
それに対して、教育活動は数値化することが難しく、自己満足に陥ってしまったり、やりっぱなしになってしまったりします。
学校は非営利型の組織ですので、なかなか「客観データ」に対する意識を高めるのは難しいことは確かです。
しかし、世は「エビデンス」の時代です。

できるだけ、「客観データ」を使いこなして、スマートな学校経営を目指してほしいと思います。
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