★「自己肯定感」という言葉はすごく気持ち悪い

先日たまたま、野球のイチローさんが「自己肯定感」について語っておられる動画を視聴しました。

https://youtube.com/watch?v=W1cksiP7NE0%3Frel%3D0

かなり腹落ちしました。

アメリカの野球殿堂入りする方はやはり違う。

そう思いました。

元教師である私よりも、教育学、心理学的な視点に立った考え方に心底感心させられました。

イチローさんが語っていた「自己肯定感」とは、ざっくり言いますと、冷静な自己分析の伴わない単なる自己称賛だということです。

ですので、自己肯定感だけを高めようとする行為には、あまり意味がないということなんです。

イチローさん曰く、「自己肯定感」という言葉はすごく気持ち悪い、とのこと。

他人や第三者を肯定するのはわかる。

しかし、自己を肯定するのはすごく勇気がいるとおっしゃるのです。

自己肯定感が高いというのは、ストレスフリーで、いつも楽しそうに活動しているといった人のことを言うのでしょう。

一見、理想のように見えますが、人としての厚みは生まれない。

自分は最高だ。

自分は素晴らしい。

そう思っている人は、その後の成長が難しく、あまり魅力的ではない。

自分を否定することはしてはいけないが、常に自分がしていることに「疑問符」をつけることは必要。

うまくいって、成功して、それを「手応え」として次に活かすことは楽しい。

成長を楽しんでいる人が素晴らしいのであって、自己肯定感が高い人を羨ましいと思う必要はない。

このようなことをイチローさんは語っておられました。

★自己否定をしないことを優先させる

で、何が言いたいかと言いますと。

教師も親も、ことさら子供の自己肯定感をあげようと躍起になる必要はないのです。

むしろ、子供があることでうまくいった時、またはうまくいかなかった時に、教師や親としてどのような言葉がけをするのかが大事なのです。

これは、心理学で言う「共同注意」のことで、自分と他者が同じ対象に同時に注意を向ける心理現象のことを言います。

ここで、詳しくはお話ししませんが、教師や親は子供の側にいてあげて、子供と一緒に喜び、悩み、考える。

これが大事であり、教育的効果も高くなるのだということです。

うまくいった時は、しっかり賞賛してあげると同時に、なぜうまくいったのかをフィードバックしてあげるのです。

できれば、

「今回はどうしてうまくいったのかな?」

問いを投げかけることで、子供に自己分析させることがベターです。

そして、たとえうまくいかなかったとしても、まずは頑張ったプロセスをしっかり褒めてあげることです。

決して否定することなく、本人に対しても自己否定をしてはいけない旨をしっかり伝えることです。

ここが大事なんです。

以前、紹介させていただいたドキュメンタリー映画、『小学校 〜それは小さな 社会 〜 』でも、そういったシーンがありました。

映画『小学校 〜それは小さな 社会 〜 』公式サイト 世界が喝采!日本の小学校に驚いた !! いま、小学校を知ることは、未来の日本を考えること 。 1 2/13 (shogakko-film.com

先生は、オーディションに不合格になった女の子を励まし、次はどうしたらいいのか考えさせ、勇気づけます。

努力の結果、女の子は合格できたのですが、合格したことで満足してしまったことで、練習に力が入らず、演奏に失敗します。

落ち込み、練習できなくなってしまい、自己否定しそうになる女の子に、先生はたえず寄り添い励まし続けます。

そのおかげで、女の子は練習に復帰し、本番では見事な演奏をやり切ります。

どう表現していいかわかりませんが、その間、かつての不安と幼さが混じった瞳は、凛としたまなざしへと変化していくのです。

大げさかもしれませんが、私にはそう映りました。

★自己否定することなく「振り返る」

話を元に戻します。

絶対に自己否定はさせない。

「自分は何をやってもダメなんだ」

「自分の性格はダメなんだ」

「才能がないんだ」

こういった自己否定は、先の成長が見込めなくなります。

子供がそういった心理状態になっていたとしたら、それを放っておいてはいけません。

全力で助けてあげるのです。

頑張ったなら、そのプロセスをまずは認める。

「自分はよく頑張った」

「できる事はやった」

まずは自己否定させないことです。

その上で、なぜうまくいかなかったのか、次はどうすればいいのかについて考えればいいのです。

イチローさんがおっしゃる、自分に疑問符をつけるというのがこのことだと思います。

よく教育の世界では、成長する教師を表現する言葉として、「反省的実践家」という言葉が使われますが、まさにその通りです。

「振り返る」ということが大事なのです。

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うまくいったこともいかなかったことも、まずはそのプロセスを認めるとともに、何が良かったのか、何がうまくいかなかったのかについて振り返り、反省するのです。

ですから、子供たちにとって「振り返り」はとても大事な作業なのです。

もちろん大人にとってもです。

ですので、自己肯定感を高めるということに、ことさら意識を向ける必要はありません。

終わったことをくよくよすることなく、しっかり分析し、次に生かすということを習慣化することの方が大事なのです。

根拠がなく、自己肯定感を高めてもそれは意味がありません。

根拠なく、子供を褒めても大きな成長は見込めません。

自己否定することなく、たえず振り返り次を目指す、そういう子供を育てる。

それを意識すべきなんだ。

イチローさんのお話を聞いて、そう思った次第です。

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