★家族信託デメリット1 手続きが複雑で費用がかかる

前回は、家族信託のメリットについてお話しました。

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この家族信託、だんぜんメリットの方が多いことは確かです。

しかしながら、わずかながらにデメリットというか、弱点らしきものもいくつかあります。

今回はそのことについてお話します。

まず、家族信託で不動産を対象にする場合、登記が必要です。

あと、銀行口座(金銭)は、受託者名義の「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」を開設する必要があります。

信託口口座とは、家族信託を契約した後、受託者(子など)が実際に親の現金を管理するために銀行で開設する特殊な口座です。

これには金融機関の審査が必要です。

つまり、不動産と金銭の両方を信託する場合は、「所有権移転登記+信託登記」と「信託口口座」開設の両方が必要になります。

そして、多くの銀行は、公正証書による信託契約書の作成を求めてきます。

そのためには、公証役場で委託者と受託者の意思能力を確認してもらうことが必要になります。

これらのすべての手続きを自分で行うことも可能です。

しかし、ほとんどの場合、税理士や司法書士といった専門家のサポートに頼らざるをえないと思います。

そのための費用、例えばコンサルティング料、公正証書作成費用、登記費用などが必要になります。

資産額に応じてではありますが、数十万円〜100万円以上かかったりします。

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では、これらは大きなデメリットかということですが。

私は、これらの出費も必要経費の範囲内だと私は考えています。

なぜかと言いますと、家族信託を選択しなければ、成年後見制度を利用するしかありません。

そうなると、後見人の報酬が発生します。

いずれにしても、お金がかかるわけです。

そうであるならば、使い勝手の良い「家族信託」に出資した方が得策ではないでしょうか。

どのような対策を行うにしても、ある程度の出費は必要だということです。

★家族信託デメリット2 家族の協力が必須!揉めると大変

次にデメリットの2つ目です。

家族信託は、家族全員の信頼関係が土台になっている制度です。

ですので、家族関係が良好でない場合は難しくなります。

なぜかと言いますと、信託契約の内容の取り決めの段階で揉めることがあるからです。

この難関を超えられなければ、家族信託も危うくなります。

これはデメリットというよりは、懸案事項と言った方が適切かもしれません。

前述した通り、家族信託は遺言書の役割も担う形になりますので、その設計の段階で利害関係が明らかになります。

いくら平等にと考えても、多少の格差は生じます。

もちろん、兄弟の誰に何を任せるかを決めるのは親御さんなので、最終的には親御さんの判断に従わざるを得ません。

しかし、このことをきっかけに家族関係がギクシャクすることもあるでしょう。

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ではどう考えればいいのでしょうか。

私は、揉めるなら早い方がいいと考えます。

いずれにしても、相続が発生した後に揉めることになるからです。

むしろその時の方が「泥沼」になりかねません。

そうであるならば、親御さんの判断能力が高いうちに、家族信託という契約を通して、その後の資産の行き先を明確にしておくことの方が合理的ではないかと考えるのです。

問題の先送りには意味がありません。

ならば、早めにその問題を直視することがベターだと私は思います。

★家族信託デメリット3で 確定申告の義務

デメリットの3つ目。

これはデメリットと言えるかどうかわかりませんが、家族信託を行うと、受託者がやらなければならないことがでてきます。

それは何か。

財産を管理している「受託者」は、信託の計算書・計算書合計表を毎年1月31日までに、税務署に報告する義務が生じるのです。

あと、受益者(親)が確定申告をするために必要な収支データをまとめ、提供することが義務になります。

面倒なことのように思いますよね。

しかし、このことについても、私はデメリットだとは思っていません。

見方を変えれば、親御さんがある程度の年齢に至れば、その財産を子どもたちが把握する必要があります。

そして、その財産の維持・管理を家族みんなでサポートしていくことは必要なことだからです。

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実は、親の財産を把握することは、意外に難しいのです。

「お父さん、お母さんにはどれくらいの財産があるの?」

なんてことを聞くのは、いくら親しい親子間であっても難しいはずです。

しかし、家族信託の契約を進めていく上においては、そのことについて話し合わざるを得なくなります。

そういった意味でも、家族信託を選択する意味は大きいのです。

★家族信託はいつ?「今」でしょ!

いかがでしたでしょうか。

家族信託は、おそらく今の日本で、唯一、親の認知症対策として行える制度ではないかと思っています。

「財産の管理」だけでなく、「親の尊厳」と「家族の今後」を見守る制度としてはかなり使える制度なのです。

ただし、この家族信託は、親の判断能力がしっかりしている間に行わなければなりません。

だからこそ人によっては、「認知症になんかなるわけがない」「先の不幸を予測しての対策なんて縁起でもない」なんて一蹴されてしまいかねません。

なので、そこは説得が必要です。

親御さんが築いてきた財産を守ってあげるために。

そして、親御さんに万が一のことがあった場合に、最善の措置を講じてあげられるために。

ぜひ、親の判断能力がしっかりしている「今」、話し合ってみてほしいのです。

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