★独学でも学習はできる

皆さんは、生徒たちに、

「なぜ学校に行かなくてはならないの」

「家で勉強すればいいんじゃないかな」

なんて聞かれたら、どう答えますか。

その「問い」に明確に答えられたら、あなたは素晴らしい教師です。

私は50代で、

「宅地建物取引士」

「ファイナンシャルプランナー(2級)」

と2つの資格を取得しました。

すべて独学・自学です。

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管理職をしていましたので、専門学校に通う時間がなかったのです。

ひと昔前までは、専門学校に通うか通信講座を受けなければ、こういった資格に合格するのは難しいと言われていました。

しかし、今や、独学できる環境があり、必ずしも専門学校に通ったり、通信講座を受ける必要はなくなりました。

その環境とは何かと言うと。

もちろんネットです。

私の場合、テキストや問題集は、電子書籍でした。

理解が難しい場合は、ネットで検索したり、YouTubeを視聴したりしました。

また、隙間時間には音声教材や一問一答のアプリを使って、インプットやアウトプットをしていました。

SNSでは、同じ受験者同士で情報交換したり、励ましあったりして、モチベーションを高めていました。

合格するまで時間はかかりましたが、こうした学習環境のおかげで、最終的に合格することができました。

さらに、AIが出てきた今、自学の学習環境は最強になってきています。

AIを活用できれば、家庭教師を一人雇ったのと同じですから。

しかし、この学習経験は、教育に携わる管理職の私に多くの「問い」を投げかけてきました。

★学校への感謝

その問いとは、

「独学・自学が可能なら、学校って何のためにあるのか」

ということです。

管理職という立場にありながら、とんでもない問いを自分に投げつけていました。

で、結論として、私が、

「学校って、もはや必要ないのでは」

と考えたと思いますか?

逆です。

私は、この経験を通して、むしろネット社会だからこそ、学校は必要だと確信するようになったのです。

なぜか。

ネット環境が整い、AIの進化は留まるところを知りません。

しかし、そこからリターンを得られるのは、それを使う目的と意思があり、
そしてそれを活用して学ぶことができるスキルがある人だけです。

生きる意味を考え、そのために何をするのか。

その目的がなければ、ネット環境はただの娯楽施設です。

生きる目的、人生の目標は、ネット上をふらついているだけではなかなか手に入れられるものではないのです。

ましてや、まだ精神的に未成熟な児童、生徒です。

放っておかれて、こうした意識に到達することは至難の業です。

だから学校なのです。

学校は、生きることの意味と目的を考える場所。

そして、その目標、目的を達成するための学び方、生き方を身に付ける場所でなければならないのです。

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私には、「資格を取る」という明確な意思がありました。

ネットの使い方に精通していたわけではありませんが、わからないことを理解するためには情報を集めること。

理解したことを、さらに深掘りすることで、真の理解につながること。

その際には、誰かとコミュニケーションを取りながらアウトプットすることが有効であること。

そして、基本的なスキルを身に付けるためには、反復も必要であること。

自分の学びの過程を振り返り、定期的に見直すこと。

私は、こういったことをすべて学校で学んでいたのです。

なので独学でネットを活用し、合格することができたのです。

改めて、小中高、大学で教育を受けさせていただいたことに感謝の思いがわいてきました。

★学校とはどう生きるかを考える場

ということで、学校の役割を再度確認します。

独学・自学という視点で、子どもたちを見てみます。

「学び方」のスキルが備わっていない段階で、「家で自分で勉強しなさい」なんて無理です。

これはネット環境があっても、AIを活用しても同じです。

学校だからこそ、教師や仲間に導かれながら、学び方を習得していくのです。

あと、多くの子どもたちは学習に対して、明確な目的や意思をもっていません。

もちろん、中には、目的をもって学習している子もいるでしょう。

しかし、多くの子は、それを模索している段階だと言っていいでしょう。

だからこそ、「読み」「書き」「算」だけでなく、体育や音楽、美術、総合的な学習、そして道徳や特別活動、部活動などがあるのです。

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その学習の中から、自分に合った分野、自分の特性を生かせる分野を模索していくのです。

それは生き方そのものです。

「生きる」とはどういうことなのか、そしてあなたは「どう生きたいのか」。

学校は、教育活動全体を通して、この大きな命題に対する答えを、子どもたちに考えさせているのです。

大げさかもしれませんが、学校はそのためにあるのだと私は思っています。

学校以外に、そのことを考えさせてくれる場は今のところありません。

あなたが、その「問い」の答えに矛盾しない教育を実践しているとしたら、
あなたは素晴らしい教師です。

もしそうでなくても、今日から意識して実践すればいいのです。

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